はじめまして。今はWeb制作の現場でディレクターをしながら、採用や面接にも関わっている人間です。
これまで応募書類や面接で、30人ほどの候補者を見てきました。
この記事は、Webデザイナーやコーダーとして働きながら、「次はWebディレクターを目指したい」と考え始めた人に向けて書いています。
ディレクターの経験はまだ無い、いわば“ディレクター未経験”の状態からの転職です。
先に、大事なことを言っておきます。
未経験からいきなりWebディレクターに転職しようとしても、そう簡単には決まりません。
これは僕自身が経験しました。
デザイナーからディレクターへジョブチェンジしようと転職活動をしたのですが、ディレクター職ではなかなか採用が決まらず、いったんインハウスのデザイナーとして入社し、そこからステップを踏んでディレクターになりました。
つまり、Webディレクターへの道は「直接は難しいけれど、ルートはある」。
そのルートと現実的な進め方を、応募を受ける採用側の目線と、デザイナー/コーダーからディレクターになった自分の実体験の両方から、順番に並べていきます。
ちなみに僕も、新卒のときは内定がゼロ。
インターンとアルバイトを2社経て、3社目でようやく正社員になり、デザイナー兼コーダーからキャリアを始めました。
27歳で初めて転職を考えたころの年収は320万円ほど。それがキャリアを重ねて、今は当時の倍近くまで来ています。
遠回りしてきた人間だからこそ書ける話をします。それでは始めます。
1. まず決めるのは「なぜ転職するのか」
転職活動でいちばん最初にやることは、求人を探すことでも、エージェントに登録することでもありません。
「なぜ辞めたいのか」をはっきりさせることです。
ここが曖昧なまま動くと、面接で「志望動機」を聞かれたときに詰まります。
採用する側から見ても、辞める理由がふわっとしている人は「うちに来てもまた同じ理由で辞めるのでは?」と不安になります。
僕自身も27歳のとき、「この先どうなりたいか見えない」「見返りがない」といった不満から動き出しました。
大事なのは、その辞めたい理由(不満)を、なりたい姿(目的)に翻訳しておくことです。これをやると、次の「転職の軸」がすっと決まります。
デザイナー/コーダーがどんな理由で動き、UI/UX・フロント・アートディレクターと比べてどう道を選ぶのかは、実体験をこちらで詳しくまとめました。

2. 転職の軸を決める|何を優先するか
辞める理由を目的に変えたら、次は「転職で何を優先するか」を並べて、順位をつけます。
ここを決めないまま求人を見始めると、条件が良さそうな求人に片っ端から目移りして、軸がブレます。
転職でよく効いてくる比較軸
Webデザイナー・コーダーの転職で、判断のものさしになりやすいのはこのあたりです。
- 年収(今より上げたいのか、下がっても他を取るのか)
- 働き方(出社かテレワークか、常駐か社内か)
- 残業時間(どこまで許容できるか)
- 通勤時間(毎日の負担をどう見るか)
- 職種を変えたいか(ジョブチェンジ。デザイナーのまま行くのか、ディレクターや別職種に広げたいのか)
- 会社のタイプ(受託でいろいろな案件をやる制作会社か、自社サービスをじっくり育てる事業会社・インハウスか)
- 業界(どんな事業のデザインに関わりたいか。エンタメ系・不動産系・金融系など)
- 仕事の内容(作りたいもの、身につけたいスキル)
会社のタイプや業界は見落としがちですが、日々の働き方や仕事のやりがいに直結します。
制作会社と事業会社の違いや、業界ごとの向き・不向きは、あとの「転職先の選び方」でもう少し掘り下げます。
軸には必ず順位をつける
全部を満たす会社はまず存在しません。
だからこそ、上から順位をつけておくのが大切です。
「1番は働き方、2番は年収、3番は職種」のように決めておくと、求人を見たときに「これは1番を満たすからアリ」「これは1番を諦めることになるからナシ」と即断できます。
僕の場合、この優先順位が転職ごとにけっこう変わりました。
ディレクターにキャリアを広げたかったとき(職種チェンジ)は、それを1番に置いて動きました。
一方で、直近の転職では「テレワークで働きたい」という働き方を最優先にしました。コロナ禍で、希望していない常駐を続けざるを得なかった経験が大きかったです・・・。
あのときは本当にしんどかった。
軸は人によって違って当然です。
ただ、順位をつけずに「全部ほしい」で進むと、決めきれずに転職活動が長引きます。
まずは紙でもスマホのメモでもいいので、上の項目を並べて順番をつけてみてください。
3. 自分の市場価値・年収相場を知る
軸が決まったら、次は現実を知るフェーズです。
「自分は今、いくらで、どんな会社に必要とされるのか」を把握します。
初めての転職だと、ここがいちばん見えていません。
自分の年収が相場より高いのか低いのか、今のスキルでどんな求人に応募できるのか、まったくわからないまま「なんとなく不安」なだけ、という状態になりがちです。
僕もまさにそうでした。
ここを一番手っ取り早く知る方法が、転職サイトやエージェントに登録して、実際の求人やスカウトを見てみることです。
- 求人を見れば、自分のスキルで狙えるポジションと、その提示年収の相場がわかります
- スカウト型のサービスに職務経歴を登録しておくと、「あなたにこのポジションで」という声がかかり、自分の市場価値がリアルにわかります
僕の場合、スカウト型のサービスに職務経歴を登録しておいたら、いろいろなエージェントから声がかかって、「今の会社の外だと、僕はこう見えるのか」と知れたのは大きかったです。
この「外から見た自分」を先に知っておくと、軸の順位も現実に合わせて微調整できます。
大事なのは、この段階では「応募する」必要はないということです。
まずは登録して相場を眺めるだけ。それだけでも、初めての転職の不安はかなり減ります。
では、そのサイトやエージェントはどう選べばいいのか。次でその違いから整理します。
4. 転職サイトとエージェントの違い・選び方
登録先には大きく2種類あります。
ここを混同したまま登録すると、「思っていたサービスと違った」となりがちなので、先に違いを押さえておきます。
転職サイトと転職エージェントの違い
転職サイト
自分で求人を検索して、自分で応募するタイプです。
気になる求人を好きなペースで見られる自由さがあります。その代わり、書類の添削や面接対策は基本的に自分でやることになります。
スカウト型のサイトもあり、これは登録しておくと企業やエージェントから声がかかります。
転職エージェント
担当者がついて、求人の紹介・書類の添削・面接対策・企業とのやりとり(日程調整や年収交渉)まで手伝ってくれるタイプです。
手厚いぶん、担当者との相性やサービスによって当たり外れが出ます。
初めての転職なら、この両方を併用するのがおすすめです。
サイトで相場と求人の全体像をつかみつつ、エージェントでサポートを受ける、という組み合わせです。
転職エージェントは「手厚い系」と「求人数系」を1つずつ
エージェントは「手厚い系(サポートの質で選ぶ)」と「求人数系(求人の母数を増やす)」の2タイプに分けて、それぞれ1つずつ。合わせて2〜3社までにするのがおすすめです。
じつは僕は過去に増やしすぎて、連絡のやりとりだけで手一杯になり、逆に効率が落ちた経験があります・・・。
多ければいいわけではありません。
どのエージェントをどう組み合わせるか、実際に僕が使ったエージェントの比較や、採用する側から見た選び方は、Webディレクター転職のエージェントの選び方をまとめた記事で詳しく解説しています。

5. 全体像とスケジュール|在職中に進める
準備が整ったら、いよいよ本格的に動き出します。
ここで一番伝えたいのは、転職活動は在職中に進めること。
そして、辞める意思を会社に伝えるのは、次の内定が出てからにすることです。
辞めるのは「次が決まってから」
これは僕の失敗談です。
初めての転職のとき、次が決まる前に「いつ辞めます」と会社に伝えてしまいました。
結果、退職日は迫るのに転職先は決まらず、無職の期間がずるずる延びてしまったんです・・・。
金銭的にも精神的にも、あれはこたえました。
在職中なら、収入がある安心感のなかで、納得いくまで比べて選べます。
焦って「とりあえず内定が出たここでいいや」と決めずに済みます。
だから、退職の意思表示は内定を確保してから。これだけは強くおすすめします。
ざっくりのスケジュール感
先に言っておくと、転職活動にかかる期間は人によって大きく変わります。
すんなり1社目で決まれば1〜2ヶ月ほど。でも、条件にこだわったり、なかなか書類が通らなかったりすると、半年以上かかることも普通にあります。
僕も、希望のポジションが見つからず長引いた転職もあれば、スムーズに決まった転職もありました。
各ステップの大まかな流れは、こんなイメージです。
軸決め・市場価値の把握・書類作成などを数週間かけて行う。
応募しながら並行して進める
1社あたり2〜3回。その1社が終わるまで数週間ほど
有休消化なども考えると目安の期間は1〜1.5ヶ月。
大事なのは、この全体期間が読めないからこそ、在職中に進めることです。
自分で「いつまでに決める」と期限を切ると、焦って妥協することになります。収入がある状態なら、半年かかっても納得いくまで探せます。
だからこそ、さきほどの「辞めるのは内定が出てから」が効いてきます。
6. 応募書類|職務経歴書・ポートフォリオ・写真
書類は、採用側があなたを最初に見る場所です。
ここで「会ってみたい」と思わせられるかで、面接に進めるかが決まります。
採用する立場から、見ているポイントをお伝えします。
職務経歴書は「スキルが合っているか」で見られる
採用担当が職務経歴書でまず確認するのは、募集しているポジションと、その人のスキル・経験が合っているかです。
どんなに立派な経歴でも、求めているスキルとずれていれば通りません。
逆に、派手さがなくても「うちが今ほしい経験を持っている」と伝われば、会ってみたくなります。
だから、応募先ごとに「相手が求めていそうなスキル」を意識して、経歴の見せ方を調整するのが効きます。
では、採用側は具体的にどの順番でスキルを見ているのか。そして「資格は必要なのか」。自分のスキルの棚卸し方法まで含めて、こちらでくわしくまとめました。

ポートフォリオは「綺麗さ」より「何をやったか」
デザイナーやコーダーの転職で誤解されがちなのが、ポートフォリオです。
採用側になって分かったのですが、中途の場合、デザインの綺麗さそのものはそこまで重視していません。
見ているのは、実際の案件でどんな成果物を作り、どう関わってきたか。
そしてディレクターを目指すなら、「その案件をどう設計し、どう進めたか」を前に出すのがコツです。
僕自身、ディレクターとして評価されたのも、綺麗なデザインではなく、構成案を作って外注を動かし、制作を最後まで回した経験でした。
採用側が具体的に見ている3つのポイントや、未経験での見せ方・記載例は、こちらでくわしくまとめています。

証明写真は「清潔感」だけ押さえれば十分
写真は、こだわりすぎる必要はありません。ただ、清潔感だけは押さえておきましょう。
撮り方の具体的なコツ(スピード写真機・データ提出への流用など)は、下の面接記事にまとめています。
7. 面接|志望度の高い企業は早めに組む
書類が通ったら面接です。ここで最低限押さえたいのが、志望度の高い企業ほど早めに日程を組むことです。
採用する側は「この人だ」と思う候補者に出会うと、他社に取られないよう早めに内定を出すことがあります。
枠が先に埋まると、後の日程の人はどんなに良くても「消化試合」になりがちです・・・。だから本命ほど、書類通過の連絡が来たら早い日程を押さえてください。
面接で採用側が実際に見ているポイント(書類では分からない部分)、よく聞かれる質問と答え方、逆質問の切り返し、証明写真や服装まで、面接の中身はこちらにまとめました。

8. 転職先の選び方とキャリアの伸ばし方
内定が出たら、いよいよ選ぶ段階です。
ここで2章の「軸の順位」が効いてきます。
Webデザイナーの転職先でよく迷う「制作会社か事業会社か」と、その先のキャリアの広げ方に触れます。
制作会社と事業会社、どっちが向いている?
Web業界の転職先は、大きく制作会社と事業会社に分かれます。
僕は両方を経験してきたので、実感で比べてみます。
制作会社(受託)
いろいろなクライアントの案件を手がけるので、幅広いスキルとスピードが身につきます。
僕が最初にいた制作会社では、医療系のサイトを中心に年100件近くを担当しました。
数をこなすなかで、デザインからコーディング、仕様書作成まで一通り鍛えられたのは大きかったです。
今いる会社も制作会社で、ハウスメーカーのサイトを中心に手がけています。
事業会社(インハウス)
自社のサービスや商品を、じっくり育てていくスタイルです。
僕がいた事業会社では、自社ECサイトの改修から、楽天・ヤフーショッピングの運用、さらには新聞広告や化粧箱といった紙のデザインまで幅広く担当しました。
一つの事業に深く関われて、Webも紙も横断できたのは、制作会社とは違う面白さでした。
ざっくり言えば、幅とスピードなら制作会社、じっくり深く関わりたいなら事業会社。
どちらが良い悪いではなく、2章で決めた軸のどれを優先するかで選ぶのが正解です。
なお、働き方の注意点として、常駐という形もあります。
2章でも触れたとおり、自分は客先常駐がコロナ禍の出社と重なって、希望する働き方と合わずに苦労しました。
常駐がある求人は、働き方の希望とズレないか、事前によく確認してください。
入る前に、会社の評判・口コミを確認する
行きたい会社が見えてきたら、応募や入社を決める前に、転職会議やOpenWorkといった口コミサイトで評判を見ておきましょう。
実際に働いた人の声から、会社の雰囲気や本当の働き方がリアルにわかります。
求人票や面接だけではわからない部分が見えるので、入社後の「思っていたのと違った」というギャップを減らせますし、明らかにヤバい会社を事前に避けることもできます。
ひと手間ですが、やる価値は大きいです。
ディレクターは会社ごとに役割が違う|だから“段階を踏む”
ここは未経験の人がつまずきやすいところです。
同じWebディレクターでも、制作まで自分でやる会社、進行だけの会社、構成・広告・分析まで求める会社と、役割は会社ごとにバラバラです。だから未経験からいきなりディレクター職に決めるのは、簡単ではありません。
現実的なのは、まず近づける環境に入って段階を踏むこと。
僕自身も直接は決まらず、いったんデザイナーとして入社し、遠回りしてディレクターにたどり着きました。この段階を踏むなかで、27歳のとき320万円だった年収も、今は倍近くになっています。
この「未経験だと採用が決まらないつらさ」や、ディレクターになってからのきつさ・向き不向きは、こちらで深掘りしています。

また、UI/UX・フロント・アートディレクターと比べてどう道を選び、デザイナー/コーダーの制作経験をどう武器に変えるかは、実体験をこちらで詳しくまとめました。

9. まとめ|Webディレクターを目指す転職の順番
最後に、デザイナー/コーダーからWebディレクターを目指すときの、遠回りしない順番をまとめます。
- なぜ転職するのか(辞めたい理由を、なりたい姿に翻訳する)
- 転職の軸を決めて、順位をつける(ディレクターに近づける環境かも軸に入れる)
- 自分の市場価値・年収相場を知る
- 転職サイトとエージェントに登録する(手厚い系+求人数系を2〜3社)
- 在職中にスケジュールを組む(辞めるのは内定が出てから)
- 応募書類を整える(職務経歴書・ポートフォリオ・写真)
- 面接は志望度の高い企業から早めに
- ディレクターに直接こだわりすぎず、近づける会社を選んで段階を踏む
未経験からWebディレクターへの道は、いきなり一足飛びとはいかないかもしれません。
僕も、直接は決まらずデザイナーを経て、遠回りしました。
でも、順番と“段階を踏む”という現実さえ押さえておけば、ちゃんとたどり着けます。
この記事が、その最初の一歩の地図になればうれしいです。
各ステップの詳しい話は、それぞれの記事で深掘りしていきます。
気になるところから読んでみてください。
