「デザイナー時代の作品集を、そのまま出せばいいかな」——Webディレクターへの転職で、ポートフォリオをそんなふうに考えていませんか?
でも、いざ用意しようとすると、こんなところで手が止まりますよね汗
- そもそもディレクター未経験でポートフォリオって必要なの?
- デザイナーやコーダーの作品集を、そのまま出していいの?
- 採用する人は、いったいどこを見ているの?
最初の「作品集をそのまま」——これ、実は昔の僕がやって失敗したやり方です・・・。
作った成果物を印刷してファイルにまとめ、あとは面接で口頭で説明する。デザイナーの転職ならこれで通っていました。でも初めてWebディレクターを狙ったときは、同じやり方でまったく手応えがなかったんです。
今の僕は、現役のWebディレクターとして働きながら、採用・面接する側にも回っています。これまで見てきた候補者は30人ほど。
この記事では、応募する側でつまずいた経験と、今の採用側の目線。その両方から「Webディレクター転職のポートフォリオで、本当に見られているところ」をお話しします。
デザイナー・コーダーからディレクターを目指す人も、すでにディレクターとして次を探している人も、「何を・どう見せるか」の地図になるはずです。
Webディレクター転職にポートフォリオは必要?未経験と経験者で「見られ方」が違う
先に結論です。ディレクター未経験でも、ポートフォリオはあった方がいいです。
※ここで言う未経験は、デザイナーやコーダーの経験はあるけれど、ディレクターとしての実務はこれから、という人のことです
そのうえで知っておいてほしいのが、ディレクター未経験と経験者で「見られ方」がまるで違うこと。ここを勘違いすると、昔の僕のように空回りします。
未経験は「ポテンシャル」、中途は「実務」で見られる
採用側になって気づいたのですが、ポートフォリオの見られ方は立場で変わります。
- 完全な未経験:これから伸びるかの「デモ(見本)」として見られる。デザインのセンスや作り込みも一定は見る
- 中途(実務経験あり):作品の綺麗さより、これまでの仕事でどんな成果物に、どう携わってきたかを見る
Webディレクターへの転職は、多くの場合この「中途」に当たります。つまり、綺麗な作品を並べることより、どんな案件でどう動いたかを見せる方が刺さるんですよね。
なぜ「作品集そのまま」だと弱いのか
さっきの失敗を、採用側になった今の目線で分解してみます。
デザイナーのポートフォリオは「どんな絵が描けるか」を見せるもの。でもディレクターの選考で知りたいのは「どう案件を回せる人か」です。見せるべきものが、そもそも違うんですよね。
作品を並べて口頭で補足するだけだと、肝心の「進め方」が資料に何も残りません。だから手応えがなかったわけです。ディレクターを狙うなら、作品集ではなく「仕事の進め方が伝わる資料」に組み替える必要があります。
ちなみに、このとき直接ディレクターでは決まらず、僕はいったんデザイナーとして次の会社に入りました。その遠回りの経緯は、こちらにまとめています。

【採用側の本音】僕がポートフォリオで最初に見ている3つ
「Webディレクター ポートフォリオ」で調べると、よく「マネジメント力・企画力・問題解決力・リーダーシップを示そう」と出てきます。もちろん間違いではありません。でも採用側の頭の中は、もっと素朴です。僕が実際にポートフォリオを開いて最初に見ているのは、次の3つです。
1. 募集しているスキル・経験とマッチしているか
いちばん最初に見るのはここです。「うちが今ほしい経験と、この人がやってきたことが近いか」。
意外かもしれませんが、ポートフォリオという資料そのものの「見た目の綺麗さ」は、そこまで重視していません。もちろん見やすいに越したことはありません。でも、資料をおしゃれに飾ったから通す、とはならないんです。
ここは誤解されやすいので補足します。あなたが実際に作った成果物(実案件)のクオリティは、しっかり見ています。見ていないのは、あくまで「資料としての装飾」の部分です。この2つは分けて考えてください。
そのうえで、募集内容とやってきたことが噛み合っているか。まずはそこを見ています。
ちなみに、この「マッチしているか」を採用側がどの順番で判断しているか(案件の規模・業種、そして担当した工程)は、Webディレクターのスキルと資格、現場で本当に必要なもので詳しく書いています。自分のスキルの棚卸し方法もまとめました。
2. 経験が具体的で、解像度が高いか
次に見るのが「何を、どうやったか」の具体性です。
「サイトのディレクションを担当」だけだと、ふわっとしていて伝わってこないんですよね。そうではなく、どんなサイトを、どういう体制で、自分はどこを担当して、どんな流れで進めたか。ここまで書いてあると解像度が高いと感じて、ぐっと通したくなります。
3. 最新の実績が厚いか
もう1つ、地味だけど効くのが「直近の実績が厚いか」です。
古い案件がいくら並んでいても、「で、最近は何をしているの?」が見えないと不安になります。新しい案件ほど内容を厚めに書く。これだけで「今、動ける人」という印象が変わります。
補足すると、ポートフォリオに載せた実際のページも見ています。応募先が扱っている案件と比べて、ページのボリュームやクオリティが極端に少ないと、「うちの案件だと少しキツいかな」と感じることもあります。
ディレクター版ポートフォリオに載せる基本項目
では具体的に何を載せるか。ここでは、僕が実際にディレクターになってから作っていたポートフォリオ(Googleスライドで作成)を、そのまま項目にしてご紹介します。デザイナー時代の「作品ファイル」から、こういう形に変えました。
1案件につき、載せていたのはこの項目です。
- サイトのスクリーンショット
- URL
- 対応時期
- 対応の概要(どんな案件か)
- 体制・メンバー(何人で、どんな役割分担か)
- 自分の担当業務
- 実際の対応の流れ(どう進めたか)
これに加えて、書ける案件なら「KPI(目標の指標)や成果の数値」も入れておくと強いです。とくに改善系の対応をした案件は、必ず数字を残しておきましょう。「問い合わせが◯%増えた」のように、成果が見える化されて説得力がぐっと上がります。
このとき、数字を出すだけで終わらせないのがコツです。
- どんな施策を行ったのか
- その中で、特にどの施策が効いたのか
ここまで説明できると、「数字を出せる人」から「数字を動かせる人」に見え方が変わります。
とはいえ、企業によってはKPIの数字が書けないこともあります。そもそも目標が曖昧だったり、社内で共有されていなかったり。広告の成果に左右されて、Web側の効果だけを切り出しにくいケースもあります。僕自身、そういう現場も経験してきました。
その場合は、書ける範囲の別の数字で代替すればOKです。たとえば——
- ABテスト(2パターンを出し分けて比べる検証)の結果
- ヒートマップ分析(クリックや離脱を可視化するツール)でのクリック率や離脱率の改善
こうした「自分の手で動かせた数字」を出せると、KPIが書けなくても十分に成果を語れます。
記載例:1案件ページの見本(架空サンプル)
イメージがわくように、架空の案件で1ページぶんの記載例を作ってみました。実際の中身はこのくらいの粒度で十分です。

スクリーンショットを1枚貼って、この項目を埋めるだけ。凝ったデザインは要りません。中身が伝わる方がずっと大事です。
実務経験がない・薄い人はどうすればいい?
とはいえ「ディレクターの実案件なんて1件もない」という人も多いですよね。ここが未経験のいちばんの悩みどころだと思います。
採用側の立場から言うと、ディレクターとしての実案件がなくても、可能性を感じるポートフォリオはあります。ポイントは、次の流れで見せることです。
- デザイナー・コーダーとして、その案件にどう携わったか
- そのとき、ディレクターに対してどんな提案をしたか
- その結果、どうなったか
- だからディレクターになったら、こう動けそう
この「ディレクターになったときの動きの片鱗」が見えると、実案件がなくても「この人、任せてみたいな」と思えます。単に作ったものを並べるのではなく、進行や提案の視点を混ぜて語り直す。ここが未経験ポートフォリオの勝負どころです。
実案件がどうしても足りなければ、自主制作の構成案や、架空案件のワイヤーフレーム(画面の設計図)を作って見せるのもアリです。ただし「作りました」で終わらせず、「なぜこの構成にしたか」まで書くと、考える力が伝わると思います。
デザイナー・コーダー出身は、実はディレクターに有利
ここで安心してほしいのですが、デザイナーやコーダーからのディレクター転職は「完全な未経験」ではありません。むしろ有利な武器を持っています。
実際僕自身がそうでした。制作会社時代に、サイトの構成案を作ったり、外部の会社にデザインやコーディングを発注して制作を回したりしていました。当時は「デザイナーの仕事の一部」くらいの感覚でした。でも今振り返ると、これはもう立派なディレクションの経験でした。
- 構成案・ワイヤーフレームを作った → 企画・設計の経験
- 外注さんに発注して進めた → 進行管理・ディレクションの経験
- 伝わる指示書・仕様書を書いた → コミュニケーション設計の経験
デザイナー・コーダーの仕事の中には、こうした「進行の視点」が必ず混ざっています。それを掘り起こして、ディレクターの言葉で書き直す。これだけで、ポートフォリオの説得力がまるで変わります。デザイナー/コーダーからの道の選び方は、こちらにもまとめています。

ポートフォリオの作り方と形式
形式で悩む必要はありません。僕はGoogleスライドで作っていました。無料で使えて、印刷しても画面で見せてもレイアウトが崩れにくいので、これで十分です。
最近はFigma(デザイン系のツール)で作る人も増えていて、こちらはもっと自由にレイアウトを組めます。使い慣れた方でかまいません。
意識したいのはこのくらいです。
- A4サイズを基本にする(印刷しても見やすい)
- 1案件1ページくらいで区切る
- 情報を詰め込みすぎない(文字だらけにしない)
- デザインの派手さより、読みやすさを優先する
迷ったら「他の人のポートフォリオ」を参考にする
作り方のイメージがどうしてもわかないときの裏ワザがあります。転職エージェントに登録すると、問題ない範囲で他の登録者のポートフォリオを見せてもらえることがあるんです。
実際に通っている人のポートフォリオは、いちばんの教科書です。担当のアドバイザーに「参考に見せてもらえますか?」と聞いてみる価値はあります。この使い方も含めて、エージェントは「作る前の相談相手」として頼るとラクになります。
ポートフォリオは会社ごとに作り替えない。変えるのは面接での「説明の比重」
最後に、よくある勘違いを1つ。「応募先ごとにポートフォリオを作り替えた方がいいですか?」と聞かれることがありますが、僕はおすすめしません。
転職活動では何社にも応募します。会社ごとに毎回作り替えるのは、現実的ではないんですよね。ポートフォリオ本体は1つでいいんです。
じゃあ何を変えるか。変えるのは「面接での説明の比重」です。
ここで採用側の内部事情を1つ。書類(ポートフォリオ・職務経歴書)が通過したということは、そこに書いてある経験の中に、その会社が求めているスキルに近いものがあった可能性が高いんです。だから通っているんですよね。
つまり、書類が通った時点で「刺さっているポイント」があるはず。面接では、そこを汲み取って重点的に説明する。そして質疑応答の中で、自分が実際にやってきたことと、相手が求めていることをすり合わせていく。これができると、面接の確度がぐっと上がります。
ポートフォリオは1つでいい。応募先に合わせるのは、どこを厚く語るかの比重。ここを意識するだけで、同じポートフォリオがぐっと効くようになります。面接そのものの対策は、Webディレクターの面接|採用側が明かす見るポイントにまとめました。

まとめ:ポートフォリオは「作品集」から「仕事の見せ方」へ
最後に要点を整理します。
- 未経験と経験者で見られ方が違う。中途は「作品の綺麗さ」より「どう携わったか」
- 採用側が最初に見るのは、①募集とのマッチ度 ②具体性・解像度 ③最新実績の厚み
- 載せる項目は、スクショ・URL・時期・概要・体制・担当・対応の流れ(+書けるなら成果の数字)
- 実案件が薄くても、携わり方+提案+結果+「動きの片鱗」を見せれば可能性はある
- デザイナー・コーダーの構成案や外注ディレクション経験は、立派なディレクションの武器
- ポートフォリオは1つでいい。応募先に合わせるのは「面接での説明の比重」
デザイナー時代の僕は、作品集を出して口頭で説明して、それで決まらずに遠回りしました。でも、見せ方さえ「仕事の見せ方」に切り替えれば、経験は十分に武器になります。
まずは1案件でいいので、さっきの項目に沿って書き出してみてください。それがあなたのディレクター転職の、最初の一歩になります。
ポートフォリオや職務経歴書は、転職エージェントに添削してもらうと一気に精度が上がります。僕も毎回、面談で厳しく見てもらいました。全体の進め方から知りたい人は、こちらのロードマップから読んでみてください。

「そもそも自分に向いてる?」と不安な人は、こちらもあわせてどうぞ。

