「Webディレクター 未経験 きつい」——そう検索して、少し不安になっていませんか?
ネットを見れば「やめとけ」「未経験にはきつい」の声ばかり。目指そうとしている人ほど、刺さりますよね。
僕は今、現役のWebディレクターとして働いています。採用や面接もしており、これまで30人ほど候補者を見てきました。そして僕自身がデザイナー・コーダーから遠回りしてディレクターになった人間です。
結論から言うと、きついのは本当です。
でも、正体と向き不向きさえわかれば、必要以上に怖がる話ではありません。むしろデザイナー/コーダー出身なら、強みにできる部分も多いです。
この記事では、「きつい」の中身を、現役かつ採用側の両方の視点で分解します。
Webディレクターが「未経験だときつい」と言われる理由
まずは、よく言われるきつさの正体から。現役として、たしかにここは大変だと感じる部分です。
立場の板挟みになる
ディレクターは、いろいろな立場の真ん中に立つ仕事です。
たとえば僕が客先に常駐していたときは、現場の感覚と本社の感覚がまるで違って苦労しました。
現場を優先すれば売上が伸びない、本社を優先すれば現場から「なんで?」と不満が出る。どちらを立てても、もう片方から矢が飛んでくる・・・。この板挟みは、ディレクターの宿命みたいなものです。
クライアント対応で振り回される
クライアントにWebの知識がないと、無茶な要望が飛んでくることがあります。
「あれもこれも」と言われて、いざ見積もりを出すと「高いからやらない」となることも・・・。
このあたりの調整は、慣れないうちは本当に消耗します。
繁忙期のマルチタスクで頭がこんがらがる
繁忙期は、複数の案件を同時に回します。
優先順位をつけて、頭の中を案件ごとに切り替えながら進める。これがなかなかハードで、油断すると頭の中がこんがらがってきます。
これは、なりたてかどうかに関係なくきついところです。
幅広い知識をキャッチアップし続ける
ディレクターは、デザインやコーディングだけでなく、アクセス解析(GA)や広告運用まで求められることがあります。
僕もディレクターになりたての頃、GAを使ったデータ分析や広告の知識がなくて、かなり戸惑いました。
ここまでで「やっぱりきついじゃないか」と思ったかもしれません。
でも、これらには乗り越え方があります。
きつさは「乗り越え方」を知っていれば怖くない
僕がなりたての頃にやって効いたのは、次の3つの考え方です。
全部を自分でやろうとしない
GAも広告も、最初は本当にわかりませんでした。
でも、自分が苦手なことは、たいてい周りの誰かが得意です(その逆もあります)。
「ここは自分、ここは誰かにお願いする」と線引きするだけで、ぐっとラクになりました。
ディレクターは“全部できる人”ではなく、“うまく人に振れる人”なんだと気づいてから、気持ちも軽くなりました。
わからないことは、数をこなして慣れる
構成を作るとき、ライティングの前に、ベースとなる文章を仮で書くことがあります。
これはクライアントの業界知識がないと書けなくて、最初はかなり苦労しました。
こればかりは近道がなく、数をこなして慣れるしかなかったです。逆に言えば、続けていれば必ず慣れます。
伝わらないときは、別の言葉に置き換える
クライアントにWebの知識がないときは、専門用語のままでは伝わりません。
身近な例えに置き換えたり、何度も繰り返し説明する。
地道ですが、これが結局いちばん効きます。
きつさの多くは、「知らない・慣れていない」から来ています。
裏を返せば、時間と工夫で必ず薄れていく、ということです。
いちばんきついのは、実は「なる前」かもしれない
じつは、ここまでのきつさは“ディレクターになった後”の話です。
未経験の人にとっては、もっと手前に大きな壁があります。
そもそも、未経験だとなかなか採用が決まらない、というきつさです。
これは僕自身が経験しました。
デザイナーからディレクターへ直接ジョブチェンジしようと転職活動をしたのに、ディレクター職ではまったく決まらず、いったんデザイナーとして入社して、そこから遠回りしてディレクターになりました。
採用する側に回った今なら、理由がわかります。
「Webディレクター」と一口に言っても、会社によって求める役割がバラバラなんです。
自分で制作までやる会社もあれば、進行だけの会社もある。構成・広告・分析まで求める会社もある。
だから未経験だと「その会社が求めるディレクター像に合う」と示しにくく、採用側も任せていいか判断できない。結果、決まりにくいです。
でも、決まらないからといって心を折る必要はありません。ルートはあります。
デザイナーやコーダーとして、進行や企画に関われる会社にまず入り、そこから段階を踏む。
遠回りに見えて、これがいちばんの近道です。
この「段階を踏むルート」は、こちらで詳しくまとめています。

【採用側の本音】きつさで辞める人・続く人の違い
採用や面接をしていると、「きつさで早めに辞めてしまう人」と「長く続く人」に、はっきり傾向が出ます。
早めに辞めてしまいがちな人
- 夜遅くまで残って、1人で抱え込んでしまう人。全部を背負おうとすると、どこかで折れてしまいます。
- メンタルにダメージを受けやすい人。ディレクターはクライアントと直接やりとりするので、相手の言い方がきつかったり、無茶な要求が来ることがあります。それがつらくて辞めてしまった人を、何人か見てきました。
長く続く人
シンプルに、会社の業務と自分のスキルがマッチしている人です。
これはお互いにとって働きやすいので、無理なく続きます。
だからこそ、転職のときに「その会社が求めるもの」と「自分のできること」が合っているかを見極めるのが、いちばん大事なんです。
デザイナー/コーダー出身は、実はきつさに強い
ここまで「きつい」話が続きましたが、デザイナーやコーダー出身の人には朗報があります。
制作の現場を知っているぶん、ディレクターのきつさに強いんです。
たとえば僕は、以前いた制作会社で、構成案に近い作業を外注さんと一緒に進めた経験がありました。
そのおかげで、ディレクターになってからも制作の段取りをスムーズに掴めました。
さらに、海外(中国)の関連会社に制作を依頼していた時期があり、「日本語が母語じゃない相手にも伝わる指示書」を書く訓練ができていました。これがディレクションでそのまま活きています。
制作を分かっているからこそ、無茶な要望にも「それは難しい/ここまでなら」と現実的に線を引ける。技術のキャッチアップも早い。
未経験でも“Web制作は未経験じゃない”あなたは、実はかなり有利なスタート地点にいます。
それでも「向いていないかも」と思ったら
はっきり言うと、ディレクターには向き不向きがあります。
次のようなタイプの人は、少しきついかもしれません。
- 周りと連携するより、1人で黙々と作業に集中したい人
- 電話対応がとにかく苦手な人(実は僕もこれは苦手です・・・)
- 会議などで、人前で話すのが苦手な人
ディレクターは人と人の間をつなぐのが仕事なので、このあたりが強いストレスになる人はいます。
もう一つ、働き方の相性も大きいです。
僕は客先常駐で働いていた時期があるのですが、希望する働き方と合わずに、かなりしんどい思いをしました。
「ディレクターの仕事」そのものより、「どこで・どう働くか」がきつさを左右することも多いです。
だから転職のときは、仕事内容だけでなく、働き方(常駐か社内か、テレワークか、など)も必ず確認してください。
まとめ:きついのは本当。でも、あなたには向いているかもしれない
Webディレクターが未経験だときつい、というのは本当です。
板挟み、マルチタスク、幅広い知識——たしかに大変です。そして、なる前の「採用が決まらない」壁もあります。
でも、押さえておいてほしいのはここです。
- きつさの多くは、慣れと工夫(人に振る・数をこなす・言い換える)で薄れていく
- デザイナー/コーダー出身なら、制作を分かっているぶん強みになる
- 採用側から見て「続く人」は、会社と自分のスキルが合っている人
これを知っておけば、必要以上に怖がる話ではありません。
むしろ、遠回りしてでもたどり着く価値のある仕事だと、僕は思っています。
「じゃあ、どう進めればいいの?」という人は、未経験からWebディレクターを目指す全体の進め方を、こちらでまとめています。

